セブンが銀行株売却を検討 事業構造転換を加速

小野寺 佳乃
読了目安: 5 分

グループ再編に向けた資本戦略が進行中

セブン&アイ・ホールディングスが、傘下のセブン銀行株の一部を伊藤忠商事に売却する方向で調整を進めていることが20日に明らかとなった。これにより、同社はコンビニ事業に経営資源を集中させる方針を明確化している。

非連結化による業務効率化を狙った動き

セブンはかねてより、コンビニ分野への集中を理由に非中核事業の整理を進めてきた。セブン銀行の保有比率引き下げもこの一環とされ、非連結化による管理コストの圧縮と経営の柔軟性確保を図るものとみられる。

伊藤忠がATM網の強化を視野に

一方、株式取得先とされる伊藤忠商事は、傘下のファミリーマート店舗でのATM事業強化を狙っているとされる。金融サービスの利便性向上を図り、来店頻度の増加などを期待している可能性がある。

保有構造と現状の株式比率

2025年3月末の時点で、セブン銀行の主要株主はセブン-イレブン・ジャパンであり、単体で約39%の株式を保有している。グループ全体では、イトーヨーカ堂やヨークベニマルを含めておよそ47%にのぼる。

コンビニ事業単独成長への意志を強調

セブンは、カナダのクシュタール社による買収提案を退け、コンビニ事業に専念する姿勢を鮮明にしている。スーパー事業を束ねる中間持ち株会社を米投資ファンドに売却するなど、選択と集中の姿勢が一段と強まっている。

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