収益悪化で撤退へ キユーピーの育児食事業が終焉

河本 尚真
经过
読了目安: 5 分

2026年8月をもって全72品目の製造を停止

キユーピーは2026年8月末をもって、長年手がけてきたベビーフードと幼児向け食品の製造を全面的に終了する。同社が現在展開している対象商品は72品目に及び、これらは今後順次店頭から姿を消すことになる。約65年続いた事業に終止符が打たれる。

販売減少と原価上昇の二重苦

終了の背景には、長期的な販売不振とコスト構造の悪化がある。競合製品の増加と少子化の影響で市場の拡大が見込めない中、原材料費とエネルギー価格の上昇が重なり、利益確保が困難な状況となった。こうした経営上の課題が撤退を後押しした。

商品継続へ向けた努力の限界

同社によると、継続的な立て直し策を講じてきたが、採算と品質の両立が困難であったとされる。「顧客に満足いただける品質の維持が不可能と判断した」との見解を示しており、経営判断として撤退は避けられなかったと述べている。

業界への波及と消費者への影響

今回の発表はベビーフード市場に一定の影響を与えるとみられ、競合各社のシェア拡大や製品戦略に変化が生じる可能性がある。また、長年キユーピー製品に親しんできた消費者からは、代替品への移行やブランドへの惜別の声が上がることも予想される。

他事業への注力で構造改革を加速か

キユーピーは今後、調味料や業務用製品といった中核事業への集中を進める見通しである。育児食市場からの撤退は、経営資源の再配分と効率化の一環と位置づけられ、構造改革の加速にもつながると考えられている。

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