NTTドコモが住信SBIネット銀行の過半数株取得を発表

市原 陽葵
经过
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ドコモがネット銀行大手の過半数株式取得を決定

NTTドコモは、住信SBIネット銀行の株式65%を取得し、子会社化する方針を明らかにした。これにより、同社は初めて銀行機能をグループに取り込むこととなる。買収は1株4,900円で行われ、5月30日からTOB(株式公開買い付け)を開始する予定だ。今回の取引により、SBIホールディングスが保有する株式の多くも譲渡対象となり、総額はおよそ4,200億円に上ると見込まれている。

親会社NTTがSBIへの資本参加で連携を強化

この買収にあわせて、親会社であるNTTはSBIホールディングスへの第三者割当増資を引き受け、約1,100億円の出資を行う。これにより、両社は資本業務提携を結び、金融事業全体での連携強化に踏み出す。NTTグループとしては、今回の協業を通じてフィンテック分野でのシナジーを拡大させたい考えだ。

携帯キャリア各社による金融事業の拡大競争が進行中

通信業界では、金融サービスとの融合が加速している。KDDIやソフトバンクは、それぞれ自前の銀行を通じてビジネスの多角化を推進してきた。これまで銀行を持たなかったドコモも、今回の住信SBIネット銀行の買収により競争環境に本格参入する構えだ。

預金残高9兆円超のネット銀行を取り込む意義

住信SBIネット銀行は、預金残高が9兆円を超える国内有数のネット銀行で、堅実な顧客基盤と膨大なデータを有している。ドコモはこれを取り込むことで、自社の通信利用者との連携を深め、スマートフォン起点の金融機能を強化することが見込まれる。とくに日常的な支払いや資産形成の利便性が高まる可能性がある。

経営陣が語る今後の展望とシナジー効果の期待

NTTの島田明社長は、「デジタルと金融を融合させて革新的なサービスを提供する」と述べた。また、ドコモの前田義晃社長も「スマートフォン1つで完結する金融体験を実現したい」と強調している。SBIの北尾吉孝社長も、「NTTの顧客基盤と統合することで、両社にとって相乗効果が生まれる」との見解を示しており、金融と通信の融合による新たなビジネスモデルが本格化しつつある。

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