東京の新築マンション、過去最高水準の価格に到達

滝本 梨帆
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東京の新築マンション、過去最高水準の価格に到達

首都の住宅価格が急騰する背景

東京都内、特に23区における新築マンションの価格が、かつてない高水準に達している。不動産経済研究所が4月21日に公表した調査によると、2024年度の東京23区の平均価格は1億1,632万円に上り、前年度比で11.2%の上昇となった。これは4年連続の最高値更新であり、平均価格が2年続けて1億円を超える結果となった。

成因は土地取得費と建設コストの増大

この著しい価格上昇の背景には、複数の要因が絡んでいる。とりわけ地価の上昇と人件費を含む建設コストの高騰が大きく影響していると分析されている。大規模な都市開発や再開発が進行する中で、建築業界では資材価格の変動もコスト圧力として加わっており、販売価格に反映されている。

各県の価格水準も高止まりが続く

東京都内にとどまらず、周辺各県でも分譲価格の上昇が顕著だ。神奈川では平均価格が6,587万円に達し、前年から7.2%の上昇。埼玉では5,893万円と前年比で20%以上の値上がりが見られ、千葉も5,604万円と10%超の上昇幅を記録した。これらの動きが相まって、首都圏全体の平均価格は8,135万円に到達し、4年連続で最高値を更新した。

新築供給数は過去最低を記録

一方、供給動向は逆のトレンドを示している。2024年度に首都圏で販売された新築マンションは、総戸数2万2,239戸にとどまり、前年比で17%の減少となった。この数字は、1973年度から続く統計の中で最も少なく、建築コストの増大が開発の抑制要因となっていることを物語っている。

今後の住宅市場に求められる対応

住宅購入の選択肢が狭まる中、今後は政策的支援やコスト抑制策が一層重要になる。価格高騰が続けば、都市居住のハードルがさらに高まり、中間層の購買意欲に大きく影響を及ぼす懸念がある。住宅市場の持続可能性を保つには、供給力の回復と同時に、価格の安定化を図る仕組みが求められる。

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