新政権が対北政策を大きく転換
6月11日、韓国大統領府は、軍事境界線周辺で継続していた北朝鮮向けのスピーカー放送を中断したと発表した。この措置は、4日に就任したイ・ジェミョン大統領の意向によるもので、新政権が進める対北方針の見直しの一環とされる。
宣伝放送の経緯とその狙いが明らかに
この宣伝放送は、2023年6月以降に韓国軍が実施していたもので、北朝鮮の政治体制への批判や韓国の経済発展状況などを伝える内容だった。北朝鮮がごみのついた風船を韓国側に送りつけた報復措置として導入されたが、兵士の士気低下を狙った心理戦の一環でもあった。
対話重視の姿勢で北朝鮮への融和強調
イ大統領は選挙期間中から「北との意思疎通を強化する」と公言しており、就任後すぐにその公約を実行に移した形だ。放送停止は「朝鮮半島の平和と信頼回復を目指す取り組み」とされ、大統領府も「公約の履行である」と強調している。これにより、北朝鮮との対話再開の機運が高まっている。
民間のビラ活動にも停止要請を実施
政府は軍による放送停止と並行して、民間団体が北朝鮮に向けて行っているビラ散布についても中止を求めている。この措置は緊張緩和を優先する新政権の立場を示すものであり、韓国メディアは「対話の雰囲気づくりを狙った動き」と報じている。
南北関係改善に向けた初動として注目
今回の放送中止は、南北間の軍事的緊張を和らげるための重要な初動とされる。イ政権が今後どのような対話の枠組みを構築していくかが注目され、国際社会の関心も高まっている。融和政策の成果が問われるのはこれからだ。