ドイツ議会で戦後初の異例事態が発生
ドイツ連邦議会は6日、次期首相を選出するための初回投票を実施したが、CDU・CSUの党首フリードリヒ・メルツ氏は必要な得票数に届かず、同日に再度の投票が行われる異例の展開となった。このような事態は戦後初めてであり、国内外に大きな衝撃を与えている。
過半数に6票届かず メルツ氏に陰り
メルツ氏は、議会過半数である316票に対し、6票足りなかった。連立を組むSPDと合わせて328議席を有するにもかかわらず、内部からの造反があったと見られている。年金政策や移民対策などを巡る意見の対立が背景にある。
政治的求心力の低下が浮き彫りに
本来であれば形だけの通過点であったはずの投票で失敗したことは、メルツ氏のリーダーシップに対する疑問を生じさせた。新政権発足前に、すでに統率力の低下を印象づける結果となった。
再投票・三度目の可能性も視野に
2回目の投票でも過半数に届かなかった場合、14日以内に3度目の投票が必要になる。この場合、他の候補の台頭や連立の見直しなど、政局はさらに流動化する可能性がある。
国際課題を前に足並みが乱れる政権
欧州における米国との関係修復や、通商政策への対応といった対外課題が山積する中でのこの混乱は、ドイツの外交的立場にも影響を及ぼす恐れがある。メルツ氏が掲げた「行動力ある政府」の実現に向け、足元の立て直しが急務だ。