
歴史的急騰、ニューヨーク市場で記録更新
9日のニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均が前日比2,962ドル86セント高の40,608ドル45セントとなり、1日あたりの上昇幅としては過去最大を記録した。トランプ大統領が「相互関税」の90日間の停止を発表したことで、市場に安心感が広がり、買い注文が一気に膨らんだ。2020年3月のコロナ禍による急騰(約2,112ドル)を大きく上回る結果となった。
中国の対抗措置で一時混乱も、その後は買いが優勢
この日の取引序盤では、中国がアメリカの関税措置に対抗すると発表したことを受け、ダウ平均は一時300ドル以上の下落を記録。市場では売りと買いが交錯する不安定な展開となった。しかし、午後1時過ぎに大統領が「報復措置を取らない国を対象に90日間の関税停止を認める」と表明したことを受けて、流れは一転し、買いが加速した。
「今が買い時」発言が市場を刺激
トランプ大統領は午前9時37分、自身のSNSに「買うには絶好のタイミングだ」と投稿。午後1時18分には関税停止を発表し、それに呼応する形で市場は急上昇を始めた。SNSでの発言が市場の反応を先取りしていた形となり、一部の投資家にとっては重要なシグナルとして受け止められた。
メディアは懐疑的な視点も、発信力の影響を評価
アメリカの主要メディアであるブルームバーグは、今回の上昇を取り上げた記事の見出しに「大統領は正しかった」と皮肉を交えて報道。記事では「株価下落の主因は大統領自身が仕掛けた貿易戦争にある」と指摘しつつも、その発信力が市場に与える影響の大きさは否定できないと評価する声も伝えた。
貿易摩擦の火種は依然残る中での期待感
市場関係者の多くは、相互関税の一時停止により不透明感が一時的に緩和されたと評価している。ただし、米中間の根本的な貿易摩擦が解消されたわけではなく、今後の交渉の行方によっては再び市場が混乱する可能性もある。ファンドマネージャーからは「今後はあらゆる市場の動きに対し、大統領の発言を注視する必要がある」との見解も聞かれた。