関税再発動の影響を受けるも日経平均は底堅く推移

浅川 涼花
经过
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米裁判所の判断を受けて市場は一時的に売り優勢

5月30日の日経平均は、前日比467円安の3万7,965円で取引を終えた。米連邦巡回区控訴裁が、いったん違法とされたトランプ前政権による対中関税を一時的に復活させる決定を下し、市場はこれをリスクと捉えた。東京市場では先物主導で売りが加速し、幅広い銘柄で下げが広がった。

米国株の堅調さが国内市場に波及せず

前日の米国市場では、半導体大手エヌビディアの好決算が投資家心理を支え、ハイテク株中心に上昇。にもかかわらず、東京市場ではその流れを活かしきれず、政治・貿易リスクの方が強く意識された。米国の政策運営の不透明感が、日本株の上値を抑える材料として働いた。

先物の影響による変動も200日線は維持

前日の29日は先物主導で株価が押し上げられたが、30日はその反動によって売りが先行した。とはいえ、日経平均は200日線を割り込まず、一定の下値支持を保っている。短期的には値動きに翻弄される場面が見られるものの、先を見据えた回復シナリオは依然として維持されている。

トピックスが示す市場全体の強さ

日経平均と比較して、トピックスの下落幅は限定的だった。これは市場の広範な銘柄群が安定しており、指数全体としての基調は堅調であることを示している。特に内需関連やディフェンシブ銘柄の底堅さが支えとなっており、市場は一部のリスク材料だけに左右されていない。

政策不透明感と為替変動への備えが必要に

為替市場ではこの日、円高気味の展開となり、外需関連企業の業績懸念がわずかに浮上した。円安トレンドに一服感が出るなかで、企業収益見通しと為替変動リスクの両面を見極める姿勢が求められている。市場参加者は引き続き、政策リスクと外部環境への警戒を怠れない状況だ。

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