年金改革法案、基礎年金の扱いめぐり対立

嶋田 拓磨
经过
読了目安: 6 分

加入条件緩和と企業規模の縮小を盛り込む方針

政府は5月16日、年金制度改革に関する法案を国会に提出した。法案には、パート労働者らが厚生年金に加入しやすくなるよう、「年収106万円の壁」と呼ばれる賃金要件を公布から3年以内に撤廃することが盛り込まれた。また、加入対象となる企業の従業員数要件も、現在の「51人以上」から段階的に縮小し、10年以内に完全撤廃する方針が明記されている。

基礎年金の底上げ措置は法案に不採用

法案策定過程では、厚生年金の積立金を活用して基礎年金を引き上げる案も検討された。しかし、自民党内から厚生年金の給付水準が一時的に低下する懸念が示され、この措置は最終的に法案に盛り込まれなかった。これにより、制度全体の公平性を求める声が野党側から強まっている。

与党は迅速な成立を目指す姿勢

福岡厚生労働大臣は、「将来世代の年金も考慮しつつ、現在の受給者の待遇改善も図る内容だ」と述べ、法案の早期審議と成立を求めた。政府・与党は、現在の国会会期が残り1か月余りであることを踏まえ、速やかな成立を目指している。

野党は「就職氷河期」世代への影響を懸念

立憲民主党など野党は、基礎年金の底上げが見送られたことで、低年収層や「就職氷河期」世代の将来の年金額が十分でないと批判している。野田代表は、「中身のないあんぱんのような法案」と例え、法案の修正を強く求める姿勢を示している。

党首討論での論戦も焦点に

立憲民主党は、来週予定されている党首討論で基礎年金の底上げを法案に盛り込むよう改めて主張する予定だ。制度の持続可能性と公平性を巡り、与野党の攻防が今後激しさを増すとみられる。

この記事をシェア