地域金融維持へ制度延長検討、7400億円の実績

小野寺 佳乃
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公的資金制度の期限延長を金融庁が検討へ

金融庁は、地域経済を支える地方銀行などが安定的な運営を続けられるよう、公的資金注入制度の申請期限を延ばす方向で検討に入った。現在の申請期限は2026年3月末となっており、これをさらに延長する可能性がある。

制度は予防的支援が目的、破綻回避とは異なる仕組み

この制度は「金融機能強化法」に基づき、銀行の破綻回避ではなく、将来的な経営リスクに備える予防的な目的で設けられた。2004年の制度導入以降、2025年3月末までに計7,400億円超が注入されており、すでに3,200億円以上が返済されている。

金融庁、長期的な延長も視野に対応を模索

制度の申請期限はこれまでにも数回延長されてきた。今回、金融庁は人口減少が進む地方において金融インフラの維持が重要であるとし、従来よりも長い期間の延長も検討対象としている。これは地方銀行の持続的な役割遂行を支えるための措置と位置づけられる。

統合支援制度にも見直しの動き、最大30億円の交付枠

さらに金融庁は、地域金融機関が合併や経営統合を行う際に最大30億円を支給する制度についても、対象範囲の拡大や期限延長を検討している。金利のある経済環境下で競争が激化する中、統合による経営体力強化を後押しする狙いがある。

地域金融の持続性を重視し新方針を提示

加藤金融担当大臣は5月14日、首相官邸で開かれた「新しい資本主義実現会議」に出席し、「地域金融力強化プラン」を年内に取りまとめる方針を打ち出した。申請制度の延長や支援内容の拡大を通じて、地方金融の安定的な運営体制の確保を図るとしている。

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