深海資源開発の節目となる成果
海洋研究開発機構などは2026年2月、東京都小笠原村に属する南鳥島近海の深海底から、レアアースを含む堆積物の試験採取に成功したと発表した。作業は地球深部探査船「ちきゅう」により実施され、水深は約6,000メートルに達した。日本の排他的経済水域内で希土類資源を直接回収した点が特徴で、深海資源開発の技術的到達点を示す事例とされる。
レアアース泥が持つ産業的価値
今回採取された堆積物は「レアアース泥」と呼ばれ、モーターや発電機に用いられる高性能磁石の材料となるネオジムやジスプロシウムを含む。これらの元素は電気自動車や再生可能エネルギー分野で需要が高く、安定確保が産業競争力に直結する。国内海域に資源が存在すること自体が、資源戦略上の重要な意味を持つ。
探査船ちきゅうによる採取工程
探査船「ちきゅう」は1月17日に現場海域へ到着し、筒状の採鉱装置を備えた長いパイプを海底まで降下させた。1月30日から採取作業を開始し、2月1日未明に最初の堆積物が船上に引き上げられた。深海環境下で安定的に装置を運用できたことは、将来の本格採掘に向けた技術検証としても重要である。
今後の分析と試験計画
ちきゅうは2月15日に静岡県清水港へ帰港する予定で、回収した泥について成分や含有量の詳細分析が行われる。分析結果を踏まえ、2027年2月を目標に採鉱試験を実施し、経済性や作業効率の評価を進める方針だ。実用化に向けた工程が段階的に進められる。
国内供給体制構築への意義
レアアースの生産は中国への依存度が高く、輸出規制などの影響が懸念されてきた。今回の成果は、供給源を分散させるための基礎データを得る機会となる。日本周辺海域の資源を活用する構想は、長期的な産業基盤の強化につながる取り組みとして位置付けられている。