AIサーバー発熱増大でデータセンター液冷市場にパナソニック参入

小野寺 佳乃
読了目安: 7 分

データ処理拡大で冷却技術が課題

人工知能やクラウドサービスの普及に伴い、世界各地でデータセンターの建設が進んでいる。サーバーの処理能力が高まる一方で、半導体の消費電力と発熱量が増加し、設備の冷却が大きな課題となっている。
こうした状況を背景に、パナソニックは3月4日、液体を利用してサーバー機器を冷却するシステム事業への本格参入を発表した。まず欧州を対象に事業展開を開始する。

空冷より効率高い液体冷却技術

液体冷却は、ポンプと配管を使って冷却液を循環させ、サーバー機器から発生する熱を直接取り除く方式である。空気を循環させる従来の空冷方式よりも効率的に熱を処理できる点が特徴だ。
高度な計算処理を行うGPUなどの半導体は発熱量が大きく、空冷設備だけでは十分に対応できないケースが増えている。こうした背景から、データセンター業界では液冷技術への関心が高まっている。

欧州拠点の生産体制で事業開始

パナソニックは液体冷却装置をイタリアの工場で生産する計画だ。欧州では既に空調設備事業を展開しており、現地企業の販売ネットワークを活用してデータセンター向けの営業活動を進める。
これまで同社は液冷装置の構成部品となるポンプなどを製造してきたが、今回の取り組みでは装置本体の開発と販売までを手がける。これにより冷却システム全体を提供する体制を整える。

競争激化する冷却設備市場

データセンターの冷却装置市場では、海外企業が先行している。設備メーカーは買収や技術開発を通じて液体冷却分野への投資を拡大しており、競争は激しさを増している。
こうした状況の中で、パナソニックは既存の空調技術や熱交換技術のノウハウを生かし、データセンター向け設備のラインアップを拡充する方針を示している。

北米や日本など次の展開を検討

同社は欧州での事業実績を積み重ねた後、北米市場や日本を含むアジア地域への進出を検討する。世界的にAI関連サービスの拡大が続いており、大規模なデータセンター建設が各地で進んでいるためだ。
液体冷却システムの提供を通じて、急速に拡大するデータセンター関連インフラ市場への関与を強める方針を打ち出している。

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