停戦観測でドル買い圧力が後退
3月5日の東京外国為替市場では、円相場が反発し、17時時点で1ドル=157円27~28銭前後で取引された。前日の同時刻と比べて約17銭の円高・ドル安となり、6営業日ぶりの上昇となった。
背景には、中東情勢を巡る緊張の緩和期待がある。イランの情報機関が米国の情報当局と間接的に接触し、停戦条件などについて議論を求めたと報じられたことで、地政学リスクを背景としたドル需要が後退した。これにより、為替市場ではそれまで積み上がっていたドル買いポジションの整理が進み、円を買い戻す動きが広がった。
実需取引が円相場を下支え
為替市場では、国内企業による決済関連の取引も円高要因となった。5日は輸出企業などの決済が集中しやすい「5・10日」に当たり、午前の基準レート決定に向けて円買い・ドル売りの取引が増えたとみられている。
こうした実需の取引は短期的な相場変動を生みやすく、東京市場の午前中は円高方向の動きが目立った。特に輸出企業によるドル売り需要が強まり、ドルの上値を抑える形となった。
日銀の利上げ観測も円買い材料
金融政策に関する報道も円高を後押しした。報道によると、日本銀行は中東情勢の不透明感が高まる状況でも金融引き締めの方針を維持しており、4月にも利上げが必要な環境となる可能性があるとの見方が示された。
この情報を受け、為替市場では日本の金利上昇を見込んだ円買いが増加した。日米金利差の縮小を意識した取引が広がり、ドル売り・円買いの動きが断続的に見られた。
株高と原油高が円高の勢い抑制
ただし、円の上昇は限定的だった。東京株式市場では日経平均株価が一時2300円超上昇し、投資家のリスク選好が強まったことで、安全資産とされる円を売る動きが出た。
さらに、原油先物価格の上昇も市場心理に影響した。日本は原油輸入への依存度が高く、エネルギー価格の上昇は貿易収支の悪化要因となるため、円売りにつながりやすい。こうした要因が重なり、円高の勢いは次第に弱まった。
ユーロ相場は対円で4日続伸
この日の円相場はユーロに対しても上昇した。17時時点では1ユーロ=182円46~49銭となり、前日比で43銭の円高・ユーロ安となった。
一方、ユーロは対ドルでは下落した。1ユーロ=1.1602ドル前後で推移し、ドルに対するユーロ売りが続いた。主要通貨間でもドルを巡る資金移動が続き、為替市場では地政学リスクや金融政策の見通しが引き続き相場の主要材料となっている。