新会社設立と知財業務改革の狙い
島津製作所は3月25日、知的財産関連業務を効率化する新会社「Genzo AI」を4月1日に設立すると発表した。知財分野に特化した生成AIサービスを外部に提供し、企業や大学、研究機関における業務の効率化を進める。
同社はこれまで社内で活用してきたAIシステムを基盤に、新たなサービスとして外販する方針である。慢性的な人手不足や業務の属人化といった課題に対応し、知財部門の作業負担軽減を図る狙いがある。
特許関連作業を支援するAI機能を整備
新たに提供されるシステムは、発明内容を入力すると特許明細書の原案を作成する機能を備える。また、既存特許の調査や先行技術の分析もAIが行い、特許出願の検討を支援する。
さらに、英語や中国語の翻訳機能にも対応し、国際的な知財業務の効率化を目指す。契約書内容の確認などにも利用できる仕組みが整備されている。
社内活用で確認された作業効率向上効果
同社は2023年から社内でAIを利用しており、知財関連業務の効率化が進んでいる。特許庁への提出作業に要する時間は従来と比べて約5割削減される見込みである。
また、他社の特許調査に必要な作業量は9割程度減少するとされる。外部専門家への委託費についても、年間約8000万円の削減効果が見込まれている。
共同出資体制とサービス展開計画
新会社は島津製作所が90%、特許調査事業を手掛けるIP Agentが10%出資する形で設立される。資本金は5000万円で、京都市に本社を置く。
提供価格は年間100万〜1500万円程度を想定し、企業規模や利用範囲に応じた導入を促す。2030年度までに320社への導入を達成し、売上高15億円を目指すとしている。
日本の知財基盤強化に向けた役割
知的財産分野では、熟練人材の減少や外部委託費の上昇が課題となっている。新サービスは、経験に依存してきた業務の標準化を進める役割が期待されている。
島津製作所は、AIを活用した知財支援サービスの普及により、日本企業の知財対応能力の向上に寄与する方針を示している。