液晶生産を終えた工場が新たな役割へ移行
ジャパンディスプレイ(JDI)が保有する千葉県茂原市の茂原工場が、先端半導体関連の生産施設へと転換される。JDIは9月30日の取締役会で、2025年11月に生産を終了した同工場を新光電気工業へ譲渡することを決めた。
茂原工場は長年、JDIの液晶パネル事業を支えてきた製造拠点の1つだった。今回の売却により、液晶パネルの製造を終えた大型施設が、需要の拡大する半導体分野で活用されることになる。
新光電気とFICTが工場を分けて活用へ
新光電気工業は茂原工場を取得した後、施設の一部を取引関係のある半導体基板メーカーのFICTへ譲渡する。両社はそれぞれが取得する施設を利用し、先端半導体向けの部品やパッケージを生産する計画だ。
AIの普及によって半導体関連部品への需要が増加していることが、新たな生産用途の背景にある。これまで液晶パネルを製造してきた設備の跡地が、成長する半導体関連市場を支える製造拠点として利用される形となる。
iPhone向けパネルを生産した拠点の歴史
茂原工場は、JDIが米アップルのiPhone向け液晶パネルを製造していた主力拠点として使われてきた。JDIは2012年に電機大手3社の液晶事業を統合して発足し、国内液晶産業を支える企業として2014年に上場した。
その後、韓国や中国の企業との競争が激しくなり、液晶市場を取り巻く環境も変化した。JDIの業績低迷は長期化し、生産体制や保有資産を含めた事業構造の見直しが進められ、茂原工場では2025年11月に生産を終了した。
工場と物流施設を2027年3月末に引き渡し
今回の取引では茂原工場だけでなく、隣接する茂原物流センターの土地と建物も売却対象となる。新光電気工業への引き渡し日は2027年3月31日を予定している。具体的な売却額は明らかにされていない。
一方、JDIが今回の取引によって計上する譲渡益は514億円となる。この利益は2027年3月期の決算で特別利益として反映される予定で、長期にわたって経営再建を続けるJDIの財務面にも大きな影響を与える取引となる。
半導体への用途転換とJDIの構造改革が進展
JDIは2026年3月期まで12年連続の最終赤字となっており、構造改革や資金調達を継続している。今回の茂原工場売却もその一環で、保有資産を整理するとともに、得られる経営資源を今後の成長に向けた取り組みに振り向ける。
一方、売却される工場は閉鎖されたままではなく、新光電気工業とFICTによる半導体関連の製造施設として利用される。液晶パネルの主要生産拠点だった茂原工場は、2027年3月末の引き渡しを経て、先端半導体を支える生産拠点へと役割を変える。