
世界市場に動揺広がる中、米大統領が関税措置を停止
アメリカのトランプ大統領は2025年4月9日、発動から13時間余りで相互関税の上乗せ措置を90日間停止すると発表した。今回の決定は、世界市場の急激な動揺を受けた措置とされ、経済的な混乱を最小限に抑える狙いがあると見られている。
Contents
発表直後に金融市場で「トリプル安」が発生
今月2日に打ち出された相互関税方針は、ほぼ全世界を対象とする内容であり、米国内外の金融市場に大きな不安を引き起こした。株式、債券、そしてドルが同時に売られる「トリプル安」の状態に陥り、米国内だけでなく海外市場にも悪影響が波及した。
一転して過去最大の上げ幅に転じた株価
9日午後に停止が発表されると、市場は一気に反発し、ダウ平均株価は史上最高となる2,900ドル超の上昇幅を記録した。この動きにより市場には一定の安心感が広がったが、同時にトランプ政権の突発的な政策変更に対する警戒心は依然として根強く残っている。
繰り返される急な政策変更に政界から批判
トランプ大統領はこれまでも、カナダやメキシコへの関税方針において直前で方針を変える行動を繰り返してきた。2月には発動直前で1か月の延期を決定し、3月には適用2日後に大幅な減免措置を導入している。こうした予測不能な対応に対して、米議会下院では「計画も戦略もない」との批判の声が上がった。
公聴会中の決定に驚きの声、政府内部も対応に追われる
一時停止が発表されたのは、ちょうど貿易政策に関する下院の公聴会が開かれていた時間帯だった。出席していた米通商代表部のグリア代表は「数分前に決定された」と説明し、現場でも対応が後手に回ったことが明らかになった。こうした状況は、政権内部の調整不足を浮き彫りにしている。