
1万件を超す倒産発生、増加傾向は3年連続で継続
2024年度の企業倒産件数が1万件を超え、前年比13.4%増の1万70件に達した。これは2013年度以来11年ぶりの水準であり、倒産件数の増加は3年連続となっている。人手不足と物価高騰が企業の収益性を圧迫し、多くの企業が法的整理に追い込まれた。
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サービス業や小売業で深刻化 現場の疲弊が顕在化
業種別ではサービス業が最多の2,638件、小売業が2,109件、建設業が1,932件と、生活に密着した分野での倒産が相次いでいる。慢性的な人手不足が改善されない中、最低賃金や材料費の上昇が利益を圧迫。経費の増大に対応しきれない中小事業者が多く、特に人材確保に悩む業種での被害が目立っている。
大型倒産は限定的も 中小零細企業が打撃を受ける
100億円以上の負債を抱える大型倒産は年間9件にとどまった一方、倒産全体の大多数を中小零細企業が占めている。地方の小規模事業者や家族経営の商店など、資金繰りに余裕のない企業が直撃を受けている現状が浮き彫りとなった。
米国要因が新たなリスクに 金利と貿易摩擦に懸念
調査を行った帝国データバンクは、今後も企業倒産は緩やかな増加が続くと指摘。特にアメリカの自動車関税導入や景気減速の影響が、日本の製造業や輸出関連企業に波及する懸念がある。また、国内においても金融機関の貸出金利上昇が中小企業の財務を圧迫し、資金調達環境の悪化が予想される。
経済の基盤支える中小企業に支援強化が急務
中小企業は日本の雇用と地域経済の中核を担っている。倒産の増加が続けば、雇用不安や地域産業の空洞化につながりかねない。経営支援や資金繰り支援策の強化、労働環境の改善など、官民が連携した持続的な支援体制の構築が求められている。