
物価指標が予想を下回る展開に
2025年3月の米国消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で2.4%の上昇にとどまり、2月の2.8%から上昇率が鈍化した。前月比では0.1%のマイナスとなり、これは2020年5月以来およそ5年ぶりの下落である。市場が予想していた前月比0.1%上昇、前年比2.6%の水準を下回る結果となった。
原油価格の下落がガソリン価格に影響
物価下落の主因となったのは、ガソリン価格の6.3%の急落である。世界経済の減速懸念が高まり、原油価格が下落したことでエネルギー価格全体が押し下げられた。これにより、総合CPIの前月比がマイナスに転じる要因となった。
食品・サービス価格にばらつきが見られる
食品価格は引き続き上昇傾向にあり、3月は0.4%の伸びを記録。特に卵(5.9%)や乳製品などの価格が上昇した一方で、野菜やパン類は下落した。航空運賃(5.3%減)やホテル宿泊費(3.5%減)も大幅に値下がりし、サービス価格においてもばらつきが見られる結果となった。
中古車価格の下落がコアCPIに寄与
食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比2.8%上昇で、前月の3.1%から減速。前月比では0.1%上昇にとどまった。中古車・トラックの価格が0.7%下落し、コア指数全体の押し下げに貢献している。
政策見通しに影響も、関税リスクは依然として残る
物価の伸びが抑制されたことで、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の大幅な利下げ観測が強まっている。ただし、米中間での関税対立が再燃する中、インフレ改善が継続的に進むかは不透明との見方もある。