半導体株が急落 対中規制強化で成長懸念拡大

Maki
By
7 Min Read

米市場で半導体株が下落傾向を強める

アメリカ株式市場で、エヌビディアやAMDといった大手半導体企業の株価が急落した。4月16日の取引では両社が前日比10%安となり、インテルも一時5%近い下げ幅を記録した。背景には、トランプ政権による対中輸出規制のさらなる強化がある。これまで性能を抑えた製品を中国市場に投入していた企業も、新たにライセンス取得が義務付けられる見通しとなった。

新規制がもたらす財務負担が拡大

エヌビディアは、2025年2~4月期に55億ドル(約7,800億円)の費用を計上すると発表した。この費用は、規制強化を受けた在庫処分などに伴うものである。AMDも8億ドルの費用発生の可能性に言及し、同様の負担を抱えている。企業側は輸出ライセンスの取得による解決を目指すが、米中関係の悪化により前途は不透明な状況となっている。

AI半導体投資への懐疑論が浮上

半導体株の下落と並行して、AI関連銘柄への投資過熱に対する懸念も浮上している。オランダのASMLが発表した1~3月期の受注額が市場予想を下回ったことを受け、市場の投資家心理は悪化。中国企業ディープシークが開発した低価格AI半導体モデルの登場もあり、「AI向け高性能半導体は本当に必要なのか」という疑問が市場で広がりつつある。

分野別関税の方針が新たなリスクに

トランプ政権は、これまで半導体を相互関税の対象から外していたが、今後は「分野別関税」として新たに課税を実施する方針を示している。この動きは、米国からの部品輸出や国外からの素材輸入の両面で半導体業界に影響を及ぼす可能性がある。ASMLの最高財務責任者も、関税を巡る不確実性が業績へ直接的・間接的に影響するとの見方を示している。

業界の見通しに不透明感が強まる

一連の規制強化と関税方針の影響により、半導体業界の今後の収益見通しには大きな不安が生じている。成長ドライバーとされたAI分野の需要予測にも疑念が広がり、市場全体が再評価の段階に入っている。業界各社は対応策を模索しているが、国際的な政治情勢に大きく左右される局面が続くと見られている。

Share This Article