配車アプリ市場における取引慣行の実態が判明
配車アプリ運営企業とタクシー事業者間の取引実態について、公正取引委員会が調査を行い、その結果を報告書として公表した。この調査は2024年10月に開始され、タクシー業界における競争の公正性と市場の透明性が主な検証対象となった。
利用制限につながる通知の実例を確認
報告書では、ある配車アプリ事業者が「高単価の配車は、他アプリを使っていない事業者に優先的に提供する」と通知していた事例が明らかとなった。こうした取り扱いは、市場の競争を制限する行為に該当する可能性があると公取委は指摘している。
タクシー会社からは、配車がどのような基準で行われているのかについて明確な説明がされていないとの意見も多く寄せられた。利用者との信頼関係構築や公平性の担保という観点からも、透明な説明が求められる状況だ。
公正取引委員会の今後の対応方針
今回の報告書を通じて、公取委はアプリ事業者に対して取引内容の適正化と情報公開の徹底を促すとともに、独占禁止法違反が認められた場合には法的措置を取る方針を明示した。業界全体への警鐘とも言える。
新興のモビリティサービスが拡大する中、既存の法制度との整合性を保つことが課題となっている。配車アプリ市場における公平な競争環境の確保と利用者・事業者双方の利益保護が急務である。