TikTok売却を巡り米中協議が再始動へ

滝本 梨帆
经过
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財務長官が数週間以内の協議を明言

米財務長官ジャネット・ベセント氏は7日、CNBCの番組内で、数週間以内に中国の交渉窓口と接触する予定だと述べ、通商問題に加え、TikTok米国事業の売却が議題に上る可能性も示した。

TikTokの問題については、正式にはベセント氏の所管ではないが、「貿易以外の分野にも進展できるかを探るつもりだ」と述べ、協議の範囲拡大に前向きな姿勢を示した。

トランプ政権が売却期限を延長

トランプ大統領は6月、TikTok米国部門の売却を巡る大統領令を更新し、期限を90日間延長すると発表。これにより、売却の最終期限は9月17日となった。対象は米国内での業務で、米国側の出資者による管理が想定されている。

この延長措置は、取引成立を目指す米側企業に一定の猶予を与える意図があるとみられ、並行して進む政治的な交渉の余地も広がることとなった。

中国の承認が依然として必要条件に

TikTokの米国事業売却には、中国政府の同意が不可欠とされている。これまでにも、TikTokの運営体制見直し案が協議されてきたが、トランプ政権による関税強化措置を受けて、中国側が一時的に計画への承認を見送った経緯がある。

そのため、今回の協議が本格的な進展につながるかどうかは、再び中国の判断に大きく左右される。

TikTokの分離案が過去に中断

春先には、TikTokの米国法人を新設し、米国投資家が過半数を保有する体制への移行案が進められていた。この取引は、米中両政府にとって妥協の産物となる可能性があったが、対中政策の硬化により、中国側が態度を硬化させ、実質的に交渉は中断された。

ベセント財務長官とトランプ大統領がそれぞれ交渉再開の意向を示したことで、この分離案が再浮上する可能性が高まっている。

政治・経済の交差点で揺れるTikTok問題

TikTok問題は、単なる企業売却の枠を超え、米中間の貿易・技術・安全保障といった複合的なテーマと直結している。ベセント氏の発言とトランプ大統領の動きは、経済と政治が交差するこの問題に対して、両面から圧力をかける意図があると受け取られている。

7日以降に予定される協議が、再びTikTok売却交渉を加速させるのか、それとも新たな障壁を露呈させるのか、国際的な関心が集まっている。

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