株式取引を狙うサイバー攻撃、実態と対策

市原 陽葵
经过
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金融庁が発表した深刻な不正アクセス被害

金融庁が明らかにしたところによると、2025年1月から6月にかけて、証券口座の不正利用による株式売買が7,139件発生し、その取引額は約5,700億円に上った。これにより、多数の投資家が経済的損失を被る事態となっている。

件数・被害額ともに6月は減少傾向に転じる

6月に不正取引が確認された証券会社は7社で、前月の16社から大幅に減った。また、取引額・件数の両方で縮小が見られた。これは、証券会社が講じたセキュリティ強化策の影響とみられ、業界全体で対応が進んでいることを示唆している。

サイバー攻撃の多くは偽サイト経由の情報窃取

主な手口は、本物そっくりの偽サイトに投資家を誘導し、ログイン情報を入力させる「フィッシング詐欺」だった。このような手法により、犯人側は正規の利用者になりすまして証券口座を操作していたとされる。

被害の構成:売却と買い付けの内訳

金融庁のデータによれば、不正売却額は3,044億円、不正買い付け額は2,666億円だった。こうした不正取引の影響は、単なる資産流出にとどまらず、株価や市場全体への影響も懸念されている。

被害防止へ、業界全体での取り組み強化進む

証券業界では、ログイン時の多要素認証を義務づけるなど、システム面の強化が急務となっている。また、一部の証券会社では、顧客保護のために被害株式を補填する原状回復を実施する方向で準備を進めており、対策は段階的に広がりを見せている。

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