予定されていた第1四半期決算を延期
イオンは7月9日、2026年2月期第1四半期の連結決算発表を7月11日から7月31日へ延期すると発表した。これは、グループ傘下の金融子会社によるベトナム企業の買収に関連して、深刻な会計上の問題が明らかになったことが要因となっている。
この会計処理の不備は買収後の統合作業中に判明し、グループ全体の収益予測に影を落とす事態となっている。
会計監査過程で明らかになった処理のずれ
不正が見つかったのは、イオンフィナンシャルサービスが買収したベトナムの金融会社。この企業は、現地で消費者金融サービスを手がけており、アジア市場強化を目的とした買収であった。
経営統合プロセスの中で、過去の財務報告書と実態との齟齬が見つかり、不正な会計処理があったと判断された。これは連結ベースでの収益認識にも影響を与えるため、決算発表の延期が決定された。
262億円の買収案件に揺らぐ正当性
当該企業は2024年2月、約262億円で買収されたが、買収価格と企業実態との乖離が問題視されている。帳簿上の利益と資産が適切に反映されていなかったことが疑われ、今後、減損や償却に伴う損失計上も視野に入っている。
イオン側は、取得契約に関する交渉で契約の取り消しまたは再評価を求めており、相手方となる現地銀行との法的調整も含めた対応が続いている。
グループ全体の業績見通しに影響の可能性
今回の問題により、イオンの2026年2月期通期業績への影響は避けられないと見られる。連結対象子会社の決算内容が修正される場合、営業利益や純利益に与えるマイナス要素が表面化する可能性がある。
現在は影響度を精査中とされているが、業績発表延期という判断からも、経営側の警戒感の強さがうかがえる。
海外戦略見直し、アジア拡大路線に再検討も
イオンフィナンシャルサービスにとって、ベトナム市場はアジア展開の重要拠点である。だが、今回のようなリスク事象が現実化したことで、海外進出戦略のリスク評価基準の見直しも迫られている。
買収先企業のガバナンスや財務体質を見極める目が、今後より厳しく問われる。イオンとしては、信頼回復と事業の建て直しを急ぐ必要がある。