暮らしのゆとり感、15年ぶりの低水準に悪化

滝本 梨帆
经过
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物価高が家計直撃 国民の6割が「ゆとりなし」と回答

日銀が7月14日に公表した生活意識調査によれば、2025年6月時点で「暮らしにゆとりがなくなった」と感じる人は61.0%に上り、前回3月の調査より5.1ポイント増加した。この結果は、2009年9月以来、およそ15年9カ月ぶりの水準であり、物価高による生活負担の深刻化が浮き彫りとなっている。

物価上昇が最大要因 収入減も生活を圧迫

「ゆとりがなくなった」と答えた人の93.7%が「物価が上がったから」と回答し、主因として圧倒的な割合を占めた。「収入が減ったから」との回答も30.3%に達しており、給与や事業収入の減少も複合的に影響している。物価上昇と賃上げの乖離が、国民生活の実感に直結している状況が確認された。

世帯収入は減少傾向、支出は増加の一途

世帯収入について「減った」と回答した割合は30.6%と、前回調査から2.9ポイント増加した。一方、「増えた」と答えた人は14.9%で、前回より1.2ポイント減少。対照的に世帯支出が「増えた」と答えたのは61.9%で、その87.2%が「生活関連物資やサービスの値上がり」が原因とした。

景況感も後退、将来の物価にも不安感

現在の景気について「悪くなった」と答えた人は70.5%に達し、先行き不安の声が広がっている。また、「1年後の物価がどうなるか」という設問では、回答者の平均見込みが12.8%の上昇となり、2006年以降で最も高い数値を記録した。価格上昇への懸念が、将来展望にも影を落としている。

海外情勢の影響も 日銀は判断を保留

今回の調査は、米国の対日追加関税措置が発動された後に初めて行われたが、日銀は「影響の有無については明言できない」として慎重な姿勢を示している。国際経済の不確実性が、日本の物価や家計に与える影響を注視する必要がある。

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