CPI上昇と利下げ遅延懸念で市場に不安広がる

小野寺 佳乃
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米国株はまちまち、ナスダックは最高値更新

7月15日の米株式市場では、主要指数が方向感を欠く展開となった。ナスダック総合指数は連日で最高値を更新。背景にはエヌビディアがAI向け半導体の中国販売再開を発表し、関連銘柄に買いが集まったことがある。一方、ダウ平均とS&P500は下落し、決算発表を前に様子見ムードも漂っていた。

インフレ再加速、CPIは1月以来の伸び幅

6月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%、前年比2.7%の上昇となり、物価上昇圧力の再強化が示された。コアCPIも前年比2.9%の伸びを記録し、関税措置の影響が物価に表れ始めているとの見方が市場で広がっている。

利下げ開始時期は後ろ倒しの可能性

CPIの結果を受けて、年内の利下げ幅予想は約44ベーシスポイントに縮小。9月のFOMCでの利下げ確率は約53%にとどまり、数週間前の80%から後退した。10月の利下げ開始が有力視されているが、今後の雇用統計や物価指標が判断材料になる見通しだ。

債券市場と為替市場は金利動向を反映

10年債と30年債の利回りはいずれも上昇し、金利上昇圧力が強まった。ドルは主要通貨に対して全面高となり、ユーロは1.1603ドル、ポンドは1.3389ドルと下落した。特に円に対しては148円台後半を記録し、4月以来の円安水準となった。

資源価格も下落、金と原油が調整局面

資源市場では、金と原油がそろって下落した。ドル高によって金の割高感が意識され、売りが先行。WTI原油先物も66ドル台まで値を下げた。トランプ大統領がロシアへの制裁に猶予を設けたことで、原油供給不安がやや緩和されたことも影響している。

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