国内で16年ぶりの新工場建設を決定
トヨタは2025年8月7日、愛知県豊田市において新たな車両生産工場を設ける計画を公表した。国内での新工場建設は、2009年に宮城県大衡村にセントラル自動車の工場が竣工して以来、約16年ぶりとなる。建設予定地は市が企業誘致を進めている区域に指定されており、2030年代前半の操業開始を目指している。
米関税強化の中でも国内生産を継続
アメリカによる追加関税の動きが強まる中、トヨタは生産の国内回帰を進める構えを見せた。今回の工場建設は、関税の影響を抑えつつ、安定した供給体制を維持する戦略の一環とみられる。国内における生産拠点の再整備により、国際競争力の維持を図る姿勢が浮き彫りとなった。
生産目標300万台体制の維持が狙い
トヨタは現在、国内14工場で年間300万台規模の生産体制を維持している。この目標を堅持するため、老朽化が進む既存施設の補完として新工場を建設する。生産車種の詳細は今後の検討課題とされているが、技術力と雇用の維持を重視した対応といえる。
工場の老朽化が中長期課題に
経理本部長の東崇徳氏は、同日の決算説明会で「今の工場は老朽化している。将来に向けて国内300万台体制を維持するために、まず一手を打った」と語った。老朽化が進む工場群の刷新は、今後の設備投資における大きな課題となっている。
新工場計画がもたらす波及効果
新工場建設は、地域経済への波及効果も期待される。用地は市の誘致区域にあり、地元雇用の創出や関連産業の活性化につながる可能性が高い。国内生産を重視することで、製造基盤の強化とともに地域との連携強化も狙っている。