連邦政府が首都治安権限を掌握
トランプ米大統領は8月11日、首都ワシントンの治安悪化への対応として州兵800人の派遣を決定し、警察を連邦政府の直接指揮下に移す方針を示した。主力となるのはコロンビア特別区州兵で、市内の治安確保に従事する。大統領は「法と秩序の回復」を掲げ、断固とした対策に踏み切った。
治安悪化への懸念と政治的背景
今回の措置は、民主党のバウザー市長への批判とも結びついている。大統領は以前からホームレス問題や暴力犯罪への対応を問題視し、市長の施策を不十分と指摘してきた。8月5日には、首都を連邦政府の直接管理下に置く可能性も示唆していた。
FBI捜査官の投入状況
州兵派遣に先立ち、数百人規模のFBI捜査官がすでに市内で活動している。彼らは自動車盗やその他の重大犯罪の捜査を支援するが、地域警察業務への習熟度不足が一部で指摘されている。現場での効果的な連携が課題となる。
犯罪統計に見る現状
ワシントン警察の統計によれば、2024年の凶悪犯罪は前年比35%減少し、2025年も7月末までに26%の減少を記録している。この数字は市長の「犯罪は急増していない」との主張を裏付けるが、大統領は現状を危機的とみなしている。
今後の治安政策の焦点
今回の州兵派遣と警察の連邦管理化は、首都の治安維持体制に大きな影響を与える見通しだ。政策の効果は今後の犯罪発生率や市民生活への影響によって評価されることになるが、連邦と地方の政治的対立は長期化する可能性がある。