米国産大豆購入拡大を要請 トランプ氏発言で価格上昇

嶋田 拓磨
经过
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米大統領が中国に4倍の大豆購入を呼びかけ

トランプ米大統領は8月10日、中国に対して米国産大豆の購入量を迅速に4倍へ拡大するよう要請した。この発言は自身のSNSで行われ、「中国は大豆不足を懸念している」と指摘し、中国の習近平国家主席への謝意も示した。今回の要請は米中間の高関税一時停止措置の期限を前に発せられた。

大豆先物市場が反応し1週間ぶりの高値

シカゴ商品取引所では、大豆先物の中心限月が取引開始後に急伸し、2%超の上昇で1ブッシェル=10ドル台を回復した。約1週間ぶりの高値となった背景には、トランプ米大統領が中国に対し、米国産大豆の輸入を現行の4倍に増やすよう求めた発言がある。相場は強含んだが、中国が短期間でこれを実行するとの見方は市場では限られたままだ。

輸入構造と実現性への疑問

2024年、中国は約1億500万トンの大豆を輸入し、そのうち米国産の割合は25%未満だった。輸入量を4倍にする場合、ほぼ全量を米国から調達する必要があり、長年のブラジル依存から大きく方針転換することになる。北京の農業専門家は「通常の4倍の輸入は実現困難」との見解を示している。

米中関係と関税一時停止の行方

米中は7月末の閣僚級協議で、高関税の一時停止措置を8月12日から90日間延長する意向を示している。ただし、この延長に大豆輸入拡大が条件として含まれるかは明らかになっていない。米中貿易摩擦は依然として継続しており、農産物取引はその中心的課題の一つとなっている。

中国の調達多様化と米国農家の課題

中国は近年、ブラジルからの輸入を増やし、アルゼンチンからの大豆ミール輸入も試験的に実施している。米国産への依存度は低下しており、米農家は新たな販路の確保に苦慮している。中国規模の需要を満たせる代替市場はほとんど存在しないのが現状だ。

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