タイ中銀、0.25%利下げで景気減速に対応

小野寺 佳乃
読了目安: 5 分

米関税措置の影響で経済減速懸念が拡大

タイ中央銀行は13日、政策金利を0.25%引き下げ1.50%とした。これは4月以来2会合ぶりで、3年ぶりの低水準。背景には、米国が7日からタイ産輸出品に19%の関税を課したことがある。中銀は声明で、直接的・間接的影響により年後半の成長鈍化が見込まれるとし、特に製造業と観光業への打撃を指摘した。

中小企業と消費への打撃を懸念

声明では、米通商政策が構造的課題を悪化させ競争力を弱めると警鐘を鳴らした。中小企業の脆弱性や個人消費の落ち込みが懸念され、景気の下支えが不可欠との認識が示された。インドネシアやマレーシアも先月利下げに踏み切っており、域内で緩和姿勢が広がっている。

利下げ決定の背景と市場予測

今回の利下げは、政策委員全員の賛成で決定された。エコノミスト調査では約8割が利下げを予想しており、市場は年内の追加利下げの可能性を織り込みつつある。キャピタル・エコノミクスは年末までにさらに0.5%の引き下げが行われると予測した。

新総裁就任後も緩和路線を継続へ

今回が最後の会合となったセタプット総裁の後任には、政府貯蓄銀頭取のウィタイ氏が10月1日に就任予定。ウィタイ氏は、利下げが成長を支えると発言しており、10月8日の次回会合でも緩和姿勢が維持される見通し。

景気後退回避と通貨安定の課題

サカポップ総裁補は、2四半期連続のマイナス成長となる可能性は低いとしつつも、下半期の減速を警戒。必要なら追加緩和を行う準備があると述べた。また、経済基盤に沿った通貨バーツの安定を確保する方針を示した。

この記事をシェア