日本生命、内部情報持ち出し問題で調査難航

浅川 涼花
经过
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事件発覚の経緯と内部資料の持ち出しが判明

日本生命の出向社員が、三菱UFJ銀行で保険商品販売に関する業績評価資料を「社外秘」と認識しながら、2024年春に無断で撮影し社内に持ち帰っていた事実が確認された。この情報は法人部門で共有されていたが、外部からの指摘を受け、今年7月10日に初めて社内で問題が発覚した。その直後、保存されていたフォルダーが削除されていたことも判明し、調査の複雑化につながっている。

金融庁の命令と調査報告が求められた経緯

金融庁は7月18日、保険業法を根拠に日本生命へ報告徴求命令を出し、事実確認や原因の特定、再発防止策の提示を求めた。期限は8月18日に設定されていたが、同社は調査が終わっていないと説明し、報告を提出したものの詳細は非公開とした。

社内調査の進展と課題が浮上

日本生命は外部の弁護士を含む約60人の体制で関係者への聞き取りや資料の確認を進めている。しかし、持ち出しの背景や情報が社内でどのように利用されたかは依然として不明な点が多い。さらに、フォルダー削除の経緯が解明されておらず、調査が長期化している。

法的リスクと不正競争防止法の確認が進行

持ち出された資料は営業活動に直結するものであり、不正競争防止法などの法令違反に該当する可能性が指摘されている。同社は法的リスクの有無を慎重に検証しており、調査対象は社員個人の行為だけでなく、組織的な関与の有無にまで及んでいる。

日本生命のコメントと今後の対応が注目

日本生命は「このような事案を重く受け止め、全体像が明らかになった時点で説明を行う」との声明を発表した。依然として原因や再発防止策の提示は示されておらず、今後の説明のタイミングや内容が注目されている。内部統制やコンプライアンス体制の信頼回復が急務とされる。

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