円建てステーブルコイン誕生へ 新たな金融基盤

浅川 涼花
经过
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新たなデジタル通貨の登場が判明

JPYCは8月19日、国内で初めて円建てステーブルコインを発行する計画を発表し、今秋から提供を始めるとした。日本円に裏打ちされたこの通貨は安定性を持ち、デジタル決済の手段として広がることになる。基盤にはブロックチェーンを用いるが、従来の暗号資産と異なり価格の乱高下が小さい点が利点とされる。

金融庁の承認で発行資格を獲得

発行に向け、JPYCは金融庁から資金移動業者としての登録承認を受けている。この手続きを経ることで、国内法に基づいた正式な金融商品としての地位を確保した形だ。これにより、利用者は安心して日本円建てのデジタルマネーを利用できる環境が整う。

利用拡大を見据えた事業戦略を発表

会見で岡部典孝社長は「円を基盤としたステーブルコインを国際的に普及させたい」と語り、3年間で発行規模を1兆円に拡大する計画を掲げた。法人決済や個人の国際送金など幅広い場面での利用を想定し、世界的な資金の流れを効率化する狙いを示した。

利用者に有利な条件を設定

制度設計では、個人ごとに1日100万円までの発行制限が設けられるが、送金や保有については制約が存在しない。さらに、発行および送金の手数料はゼロとされ、コスト負担を最小化する設計となっている。円を基盤としたデジタル通貨の普及は、国内外での金融取引に新しい可能性を生み出す。

国内外の決済シーンに影響

これまでステーブルコインはドル建てが主流だったが、円建ての登場によって日本の金融市場に大きな変化がもたらされる可能性がある。国際送金や法人決済において円の存在感を強化し、金融インフラの多様化に寄与することが見込まれる。今回の発行は、国内外の決済システムに新しい波を起こす動きといえる。

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