FRB人事騒動の余波、米市場の動向と指標の支え

滝本 梨帆
经过
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政治的圧力が金融政策に影響する懸念

トランプ大統領は25日、SNS上でFRBのクック理事を解任すると発表し、市場に一時的な動揺が走った。 中央銀行の独立性が脅かされるとの見方から、取引序盤にはダウ平均が90ドル安となった。だが、クック氏が職務を続ける意向を示し、法的対応を表明したことで、市場は落ち着きを取り戻した。

景気指標が示した底堅さ

26日に発表された7月の耐久財受注は前月比2.8%減となったが、市場予想の4.0%減ほどの落ち込みには至らなかった。 また、8月の消費者信頼感指数は予想を上回り、米景気が底堅さを維持していることが示された。これらの結果が投資家心理を支え、株価の下げ幅を抑える要因となった。

債券市場の利回り動向が示す警戒感

債券取引では短期金利が低下し、2年国債利回りが3.681%、10年国債利回りが4.258%を記録した。これにより長短スプレッドは58bpと拡大し、投資家は今後の金融政策の方向性を注視している。FRBの独立性に関する不確実性が、なお国債市場に影響を与え続けている。

主要株の値動きと今後の焦点

株式市場ではNYダウが135ドル高の4万5418ドルで取引を終えた。エヌビディアの決算発表を控え、動きは限定的だったが、イーライリリーが肥満症治療薬の臨床試験成功で急伸した。ボーイングは韓国からの大口受注が好感され上昇し、シスコシステムズやゴールドマン・サックスも買われた。

金融・商品市場の動向が反映する投資心理

金先物は3433.00ドルに上昇し、安全資産需要を映した。逆に原油は63.25ドルまで下落し、地政学的リスクや追加関税を巡る不透明感が影響した。今後は米GDP改定値やPCE物価指数の発表が焦点となり、FRBの政策運営に対する市場の見方を左右するとみられる。

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