金融庁、東京海上日動あんしん生命を検査へ

浅川 涼花
经过
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保険代理店への過剰便宜供与が焦点に

金融庁が東京海上日動あんしん生命保険に立ち入り検査を通知した。代理店に対して相場を大きく上回る広告費を支払うなど、業界慣行を逸脱した便宜供与が行われていた疑いが指摘されている。検査はその実態把握を目的としており、保険販売における公平性の確保が焦点となっている。

FPパートナーと商品の優遇販売

問題の中心とされるのは、大手代理店FPパートナーである。同社は「マネードクター」の名で全国展開し、顧客宅や職場を訪問する形で営業を行ってきた。過剰な広告費の受け取りにより、あんしん生命の商品を優先的に推奨していたとみられる。この取引構造が、顧客の中立的な選択を妨げる要因とされた。

金融庁の業務改善命令と調査経緯

金融庁は8月、FPパートナーに業務改善命令を発し、顧客本位の販売体制を構築するよう指示した。同時に、あんしん生命を含む8社の生命保険会社に報告徴求命令を出し、代理店への便宜供与の実態を確認してきた。こうした調査は1年以上に及ぶ聞き取りの延長であり、今回の立ち入り検査もその流れの一環である。

あんしん生命の対応姿勢

これまであんしん生命は「過度な便宜供与ではない」と主張し、規制当局との間で見解の相違が続いていた。だが金融庁は、顧客の適切な商品選択が阻害されている可能性を重視し、実地調査に踏み切った。今後は資料確認や関係者からの聞き取りを通じ、取引の全容が解明される見通しである。

保険業界全体に及ぶ可能性

今回の検査はあんしん生命単独にとどまらず、同様の取引関係を持つ他の7社へ波及する可能性がある。保険会社と代理店の関係性に対する監督が一層強化されることで、業界全体の販売慣行が見直される契機となることが注目される。

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