クローム分割回避もグーグルに制約強まる判断

小野寺 佳乃
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裁判所が検索市場での是正策を命じた経緯

米司法省が2020年に提訴したグーグル独占禁止訴訟で、ワシントンの連邦地裁は9月2日、同社に新たな制約を課す判断を示した。判事は昨年すでにグーグルが市場を独占していたと認定しており、今回は是正策の具体化が焦点となった。

競合へのデータ提供と契約禁止が決定

裁判所は、グーグルが競合他社を排除する独占的契約を禁じた上で、一部の検索データを共有するよう義務付けた。これにより、マイクロソフトや新興のAI企業などが検索市場で競争できる環境を整備する意図がある。

主要な広告基盤であるクロームは維持

司法省が求めた「クローム」事業の売却は見送られた。判事は「検索流通の問題に直接関わらない」と指摘し、グーグルは主要な広告基盤を保持することに成功した。同社株は判断後の時間外取引で一時8.7%上昇し、市場は安堵の反応を示した。

契約慣行とデフォルト設定の維持を容認

グーグルがアップルに対して行う検索エンジンのデフォルト設定に関する支払いについては全面禁止とはならず、今後も契約を継続できることが確認された。アップル株も4.3%上昇し、両社の関係性が維持されることを市場は好感した。

是正措置の実効性と業界への波及効果

今回の判断に対し、規制当局は一定の前進と評価する一方で、競合他社からは「依然として不十分」との声が上がる。判決の有効期間は6年間とされ、今後はアマゾンやメタなど他の大手企業に対する裁判の参考になる見込みだ。

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