アメリカの要求と背景
トランプ大統領は9月18日、バグラム空軍基地の返還をタリバン暫定政権に正式に求めた。この基地はアフガニスタンで最大規模の米軍施設であり、中国の核関連施設に近接していることから、米国の戦略上の拠点と見なされてきた。返還要求は中国との関係強化を進めるタリバンを牽制する狙いがある。
タリバンの断固たる拒否姿勢
21日、タリバン軍参謀総長ファシフディンは首都カブールでの演説で、「われわれは国土を1インチたりとも譲らない」と発言した。さらに「侵略や威圧を恐れることはない」と強調し、アメリカの圧力を正面から拒絶する姿勢を明確に示した。
政権側の声明と米国批判
同日、副報道官フィトラトも声明を出し、「アメリカは非現実的な要求を繰り返すべきではなく、合理的な政策を取るべきだ」と強く非難した。声明は、タリバンが組織として結束して米国の要求を拒否する意思を表したものと受け止められている。
トランプ氏の警告発言
トランプ氏は21日、自身のSNSに「要求に従わなければ悪いことが起こる」と投稿した。さらに、バイデン前政権による撤退の混乱を批判し、米軍の兵器や拠点がタリバンに渡ったことを問題視した。返還要求はアフガニスタンをめぐる米国の強硬姿勢を象徴するものとなっている。
勝利の象徴としての基地利用
現在、バグラム空軍基地はタリバンによって軍事資産の展示や式典に活用されている。昨年の政権掌握3周年記念式典では軍事パレードが開催され、同基地はタリバンの勝利を示す象徴とされた。返還拒否により、アメリカとの関係悪化はさらに進むとみられる。