システム障害発生から1週間、復旧は途上
アサヒグループホールディングスで発生したサイバー攻撃によるシステム障害が、9月29日の発生から1週間が経過しても続いている。受注や出荷の再開には至らず、業務全体の正常化には時間を要する見通しだ。
攻撃はランサムウェアによるものと特定され、同社は原因の特定と復旧を進めているが、情報漏えいの可能性も調査中とされる。
生産停止から段階的に再開へ
障害の影響で、アサヒ傘下のビール・飲料・食品の国内およそ30工場の多くが操業を停止していた。現在は15工場で一部生産を再開し、特にビール部門では国内6工場すべてで限定的な生産が再開された。
アサヒビールは主力ブランド「スーパードライ」の6品種を中心に出荷を進め、10月15日からは発泡酒やウイスキーなど16品種の出荷再開を予定している。
他社への発注増加で業界全体に波及
アサヒの出荷停止を受け、キリンビール、サントリー、サッポロビールの3社には代替注文が集中している。これにより、業務用のビールなど一部製品で出荷調整が行われており、業界全体の供給バランスに影響が広がっている。
特に外食産業向けの需要が高く、各社は臨時の供給対応を迫られている。
新商品の発売は延期、販売計画に影響
アサヒは10月中に予定していた新商品の発売を延期すると発表した。延期対象には「アサヒスーパードライ 伊勢神宮式年遷宮ラベル」や「シングルモルト宮城峡10年」などが含まれ、発売日は未定とされている。これにより販売計画の見直しを余儀なくされている。
電子メールも制限、完全復旧は見通せず
システム障害の影響は通信面にも及び、社外からの電子メールの受信が制限されていたが、一部復旧が確認された。とはいえ、全システムの正常化には時間がかかる見通しで、企業活動への影響はなお続く。
アサヒは今後も段階的な復旧を進める方針だが、全面的な再開の時期は明らかにしていない。