米国仲介でイスラエルとハマスが合意
イスラエルとイスラム組織ハマスは9日、アメリカの仲介による和平案の第1段階に合意した。合意には、ハマスが拘束するすべての人質の解放と、イスラエル軍のガザ一部地域からの撤退が含まれる。イスラエル政府は同日夜の閣議で合意を承認し、発効から72時間以内に人質が解放される見通しだ。
トランプ氏「恒久的平和への第一歩」と強調
トランプ米大統領はSNSでこの合意を「強固で永続的な平和への第一歩」と表現し、「歴史的で前例のない出来事」と強調した。さらに、交渉を支えたカタール、エジプト、トルコの貢献を称えた。トランプ氏は週末にも中東を訪問し、関係国首脳と直接協議を行う意向を示している。
戦闘休止と人質解放、ガザ情勢に転機
今回の人質解放は今年1月以来となる。イスラエル当局によれば、ガザの人質48人のうち20人が生存しており、トランプ氏は「13日にも解放される」と述べた。イスラエル軍はガザ市を含む中心都市から撤退する一方、約53%の地域を引き続き掌握する方針を示した。2年にわたる戦闘の転換点となる可能性がある。
中東外交「イスラエル偏重」からの転換
トランプ政権は、これまでイスラエル寄りと批判されてきた外交姿勢を見直し、今回の合意ではハマス側にも譲歩を促すなど、よりバランスの取れた対応を取った。特に、カタールやトルコなど、ハマスに影響力を持つ国々との協調が和平実現に大きく寄与したとされる。
恒久的停戦への課題残る
今回の合意は「第1段階」に過ぎず、今後はハマスの武装解除や恒久的停戦の実現が焦点となる。トランプ政権の外交手腕と継続的な関与が試される局面が続く。イスラエルとパレスチナの対話が軌道に乗るかどうかが、中東情勢の安定を左右することになる。