ゼレンスキー大統領、トランプ氏と直談判へ

小野寺 佳乃
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ウクライナ、冬季攻撃を前に防衛強化を模索

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、10月17日にワシントンでトランプ米大統領と会談する予定を明らかにした。ロシア軍の攻撃が再び激化する冬を前に、防空能力の強化が急務となっており、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の供与を中心議題とする見通しだ。ゼレンスキー氏は「電話で話せないこともある」と述べ、直接交渉に踏み切る意向を示した。

トマホーク供与の狙いとその射程の影響

トマホークは射程約1,600〜2,500キロとされ、ロシア首都モスクワを含む広範囲を射程圏に収めることが可能だ。ウクライナ側は、軍事施設のみを標的とする使用を前提に供与を求めている。米国防総省内では供与可否を巡る議論が続いており、トランプ政権は「紛争の激化を避けるべき」との懸念も抱えている。

ロシア、核の可能性をちらつかせ米国を牽制

一方、ロシアは米国の動きを強く警戒している。メドベージェフ前大統領は13日、SNSで「トマホーク供与はトランプ氏自身に悪い結果をもたらす」と発言し、核弾頭の識別困難性を理由に「ロシアがどう対応するかは明らかだ」と警告した。これにより、米露関係の緊張が一段と高まっている。

米露関係悪化の兆しと強硬な外交戦略

プーチン大統領は供与を「米露関係の質的変化」と表現し、外交的警告を強めている。ロシア下院では、かつて合意したプルトニウム処理協定の破棄法案が採択され、米国への対抗姿勢を明確に示した。軍事専門家の中には、報復措置としてキューバへの「イスカンデル」ミサイル配備を主張する声も上がっている。

直談判の行方と国際的緊張の高まり

ゼレンスキー氏は今回の会談で、米国の支援継続と新たな武器供与の確約を得たい考えだ。しかし、ロシアの核示唆や外交圧力が続く中、会談の結果次第では欧米とロシアの対立が一層深まる可能性がある。トランプ政権がどのような決断を下すか、国際社会の注目が集まっている。

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