トランプ政権、日本のロシア産エネ輸入に圧力強化

小野寺 佳乃
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ワシントンで日米財務相が会談

トランプ政権のベセント米財務長官は15日、ワシントンで加藤勝信財務相と会談し、日本がロシアからのエネルギー輸入を停止するよう求めた。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、米国は同盟国に制裁の徹底を促しており、これまで慎重姿勢を取ってきた日本に対しても協力を強く求める姿勢を明確にした。

米国、エネルギー取引の封じ込めを加速

トランプ政権は、ロシアの原油・LNG輸出を制限することで戦費調達を断つ狙いを持つ。G7各国も同調しており、今月初旬に「ロシア産原油の輸出拡大を支援する国への対抗措置を検討する」との共同声明を公表した。米国は同盟国に対し、自国産LNGへの切り替えを促す政策も進めている。

日本側は慎重対応、エネルギー安全保障を重視

加藤財務相は会談後、「日本はG7と連携し、ウクライナにおける公正な平和実現のためにできることを進める」と述べた。日本はすでにロシア産石油の輸入を段階的に削減しているが、エネルギー安全保障の観点から、サハリン2プロジェクトを通じたLNG調達を継続している。LNGの供給停止は電力価格や企業活動に影響を及ぼす可能性があるため、政府は慎重な対応を迫られている。

インドが購入停止を表明、中国にも圧力

トランプ大統領はホワイトハウスで「インドのモディ首相がロシア産原油の購入を停止することに合意した」と発表。「大きな一歩だ」と評価し、他国にも同様の決断を促す考えを示した。また「中国にも同じことをさせなければならない」と述べ、対中圧力を強める姿勢を見せた。米国はこの動きを通じて、世界的な対露制裁の輪を拡大する構えだ。

今後の焦点は日本の対応判断

日本のロシア産原油輸入は、2025年1〜7月時点で約9万5,000キロリットルにとどまり、全体の0.1%に過ぎない。とはいえ、LNGの供給元としてのロシア依存は依然大きい。米国からの圧力が強まる中、日本がどのようにバランスを取るかが、今後の外交・エネルギー政策の焦点となる。

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