金先物、過去最大の下落幅を記録
21日のニューヨーク金先物市場では、中心限月の12月物が1トロイオンス=4109.1ドルで取引を終え、250.3ドル安(5.7%下落)と過去最大の下げ幅となった。前日に史上最高値をつけた直後の急落で、市場の過熱感が一気に冷めた形だ。
利益確定とドル高が下落を後押し
米ドルの上昇とともに、前週まで続いていた金買いの動きが一転。利益確定の売りが相次ぎ、相場の下げを加速させた。21日の米株式市場ではダウ平均が2週間半ぶりに最高値を更新し、リスク資産への資金移動が進んだことも金相場の下押し要因となった。
SNSで拡大した投機熱の反動
金相場の高騰を支えたのは、個人投資家による投機的な動きだった。米掲示板「ウォールストリートベッツ」では金ETF「SPDRゴールド・シェアーズ(GLD)」が人気化し、わずか3営業日で49億ドルの資金流入を記録。過剰な買いが積み上がった結果、売り転換時には相場急変を引き起こした。
市場の専門家が警鐘「価格は過大評価」
英キャピタル・エコノミクスのジョン・ヒギンス氏は、「金価格は物価水準と比較して大幅に割高であり、バブル崩壊の可能性が高まっている」と指摘。これまでも年初からの60%超の上昇が持続していたが、根拠の乏しい投機的上昇だったとの見方が強まっている。
投資家心理の変化が焦点に
今回の急落を受け、金市場では投資家心理の転換点を迎えたとの見方が出ている。金の安全資産としての役割は揺るがないものの、短期的には株式など他資産に資金が向かう展開が続く可能性がある。今後の米金融政策や為替動向が、金相場の方向性を左右する見通しだ。