米空母が8か月ぶりに韓国港へ寄港
米軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」が11月5日、韓国南部の釜山港に入港した。韓国海軍によると、入港は軍需物資の積み込みや乗組員の休養を目的としている。同艦は第5空母打撃群の中核を担い、同行する巡洋艦やイージス駆逐艦も同港に寄港した。米空母の韓国寄港は、3月の「カール・ビンソン」以来、約8か月ぶりとなる。
韓米同盟の結束強化を強調
韓国海軍は声明で、今回の寄港を機に「韓米海軍間の交流と協力を一層推進し、連合防衛体制をより強固にする」と発表した。釜山は米韓合同演習の主要拠点のひとつであり、今回の空母入港も両国の安全保障連携を象徴する動きと位置づけられている。米軍関係者によると、空母の艦内では補給や整備が進められる見通しで、短期間の停泊を予定している。
北朝鮮の核実験準備に警戒感
韓国国防省傘下の国防情報本部は同日、北朝鮮が極めて短期間で核実験を実施できる状況にあるとの見方を示した。金正恩総書記の決断次第で実施可能とされ、近隣国では警戒が強まっている。韓国国内では、米空母の入港がこの動きを牽制する狙いを持つとの分析もあり、軍事的緊張の高まりが懸念されている。
過去にも北朝鮮が強く反発
今年3月、「カール・ビンソン」が同港に入港した際、北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長は「情勢を悪化させる挑発行為」と非難した経緯がある。北朝鮮は米空母の接近を「侵略の予兆」と位置づける傾向があり、今回の寄港に対しても反発する可能性が指摘されている。韓国軍関係者は、挑発的行動への即応体制を維持していると説明している。
朝鮮半島の安全保障環境が再び緊張
米空母の入港は、北朝鮮の軍事動向をにらんだ抑止の一環とみられる。韓国メディアは、今後、韓米両軍による合同演習の実施や防衛協力の拡大が検討される可能性を報じている。半島情勢は再び緊迫の度を増しており、地域の安全保障バランスに大きな影響を及ぼす局面に入った。