福岡空港、発着回数45回へ 官民で前倒し検討進む

小野寺 佳乃
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新設委員会が国に技術検討を要請

福岡空港の発着能力拡大を議論する「福岡空港機能向上等検討委員会」が11日に始動した。会合では、現行40回の発着上限を45回に引き上げるため、国土交通省航空局に技術的対応と騒音区域の見直しを求めた。国側は「早期に検討に入る」と応じた。

滑走路増設後も運用効率に課題

空港は2025年3月に第2滑走路を稼働させたものの、滑走路間距離が近く同時発着が難しい。このため上限は38回から40回にとどまり、航空各社の新規運航申請を受け入れきれない状況にある。運営会社の福岡国際空港は「安全と効率の両立を図りながら、柔軟な運用体制を確立したい」との姿勢を示す。

経済団体が主導、地域成長へ布石

委員会は九州経済連合会をはじめとする経済4団体、福岡県・福岡市、空港運営会社などで構成される。委員長の池辺和弘氏は会合で「半導体関連企業の進出と訪日観光の拡大に対応するための施策だ」と強調し、地域経済の競争力強化につなげたい考えを述べた。

背景に急増する航空需要

九州では半導体工場の新設が相次ぎ、部品輸送やビジネス往来が増加している。また、国際線ではアジア諸国からの旅行客が回復傾向を示し、空港の混雑が常態化しつつある。空港関係者は「空港容量を拡大しなければ、地域発展の機会を逃す」と危機感を示した。

騒音・安全面の調整も課題

発着枠拡大には騒音問題や安全基準の再評価が不可欠とされる。国は2035年頃に45回体制を予定しているが、委員会はそれを前倒しで実現する方針を確認した。今後、航空機の進入方式改善や空港運用のデジタル化など、現実的な施策を検討していく。

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