調査結果公表で全体像が明確化
内閣府は2025年12月16日、重要施設周辺における外国人や外国系法人の土地・建物取得状況について、2024年度の調査結果を公表した。対象は自衛隊基地、原子力発電所、国境離島などで、調査は重要土地等調査法に基づいて行われた。今回の公表では、指定された583区域を対象とし、これまで把握が限定的だった実態が全国規模で明らかになった。
取得件数は土地1744件、建物1754件の計3498件に上った。前年の調査では対象区域が限定されていたため件数は371件にとどまっており、調査範囲の拡大により大幅な増加となった。
東京都に取得が集中する構図
都道府県別の内訳では、東京都が1558件と突出して多かった。次いで神奈川県が339件、千葉県が235件、北海道が217件、福岡県が211件と続いた。上位地域には人口や不動産取引が集中する都市部が多く含まれている。
区域別では、防衛省市ケ谷庁舎周辺や自衛隊関連施設、在日米軍関連施設の周辺など、都心部の指定区域が目立った。土地や建物の多くは集合住宅で、居住用や投資用としての取得が確認されている。
国・地域別で中国が半数占有
取得主体を国・地域別に見ると、中国が1674件で全体の約半数を占めた。続いて台湾が414件、韓国が378件、米国が211件、ベトナムが160件となっている。特定の国・地域に取得が集中している点が特徴となった。
政府は、所有者の国籍や法人構成を含めた情報を継続的に把握することで、取得動向の透明性を高める方針を示している。
制度運用と過去の問題事例
重要土地等調査法では、防衛施設や海上保安庁施設、原子力発電所などの周辺約1キロと国境離島を「注視区域」として調査対象に設定している。特に重要な区域では、売買時の届け出を義務付ける「特別注視区域」が設けられている。
過去には、長崎県対馬での韓国資本による土地取得や、北海道新千歳空港周辺での中国資本による買収が社会的関心を集めた経緯がある。
不適切利用は確認されず
今回の調査では、施設機能を阻害するような土地利用は確認されず、利用中止の勧告や命令は出されなかった。小野田紀美経済安全保障担当相は、取得状況の調査を継続し、機能阻害行為の未然防止に取り組む姿勢を示した。