EU自動車政策が転換 2035年禁止撤回の波紋

小野寺 佳乃
読了目安: 5 分

新車規制見直しの全体像

欧州連合(EU)は16日、2035年から実施予定だったエンジン車の新車販売禁止を撤回する方針を発表した。完全な販売禁止ではなく、排出削減目標を達成したメーカーに対して例外を認める仕組みに改める。長年続いてきた厳格な脱炭素路線に修正が加えられた形だ。

排出量90%削減を新たな基準に設定

新制度では、メーカーごとに新車全体のCO2排出量を平均で90%削減することが求められる。この条件を満たした場合、エンジン車やHVの販売が可能となる。従来の「排出ゼロ」目標と比べ、現実的な水準を設定した点が特徴といえる。

EV市場の停滞が示す現実

EUが想定していたほどEVの普及は進んでいない。新車販売に占めるEVの割合は16%程度にとどまり、価格や航続距離、充電環境への不安が依然として障壁となっている。市場の実情を踏まえ、規制の柔軟化が不可避となった。

日系メーカーにも影響広がる

HV技術に強みを持つトヨタ自動車などの日系メーカーにとって、今回の方針転換は欧州市場での選択肢拡大につながる。EV一本化を前提としない政策は、多様な技術戦略を維持する企業にとって追い風となる。

承認手続きと政策調整の行方

この方針は今後、EU加盟国と欧州議会の承認を経て正式決定される。電動化投資の後退を懸念する声も根強く、環境目標と産業競争力をどう両立させるかが問われる。EUの自動車政策は、調整局面に入った。

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