保護者連携を軸にしたTikTokの安全戦略と課題

浅川 涼花
经过
読了目安: 6 分

子どもの利用実態と社会的懸念

スマートフォン利用の低年齢化が進む中、SNSを巡るトラブルが相次いでいる。TikTokでは過去に、10歳の児童が家族の端末を使い約460万円を課金した事例が明らかになり、未成年利用への対策強化が求められてきた。利用者数の拡大とともに、家庭と事業者の役割分担が焦点となっている。

家庭内対話を促す機能設計の狙い

日本法人が強調するのは、禁止や遮断ではなく、保護者と子どもが話し合うための仕組みづくりである。投稿通知機能や設定内容の可視化は、利用状況を共有するための手段として位置付けられる。保護者が一方的に管理するのではなく、理解を深めるための設計が採用された。

啓発活動と社会的責任の明確化

同社はテレビCM「安心は、設定できる。」を通じて、家庭での安全設定の重要性を訴えている。公共政策部門は、詐欺や違法行為への対応として、捜査機関との協力体制を強化していると説明した。安全対策は技術面だけでなく、社会的啓発と一体で進められている。

透明性確保に向けた国際的取り組み

TikTokは米国やアイルランド、シンガポールなどに「透明性・説明責任情報公開センター」を設置し、投稿監視の実態を公開している。日本でも同様の取り組みを通じ、運営体制への理解を広げる狙いがある。プラットフォーム運営の可視化は、信頼構築の要素とされる。

規制と自主対応の交差点

海外で進む年齢制限の法制化に対し、日本は慎重な姿勢を崩していない。政府は事業者の自主的努力を促す方針を示し、法改正も限定的な枠組みにとどまる見通しだ。TikTokの安全戦略は、規制強化と自由な利用の間で、持続可能なモデルを模索する試みといえる。

この記事をシェア