原発隣接自治体への財源措置が示す新たな枠組み

小野寺 佳乃
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原子力政策を巡る自治体の課題

原子力発電所を巡る議論では、立地自治体と周辺地域の役割分担が長年の課題となってきた。島根原子力発電所2号機の再稼働に伴い、隣接する鳥取県でも防災体制の強化が不可欠とされている。一方で、これまで財政的な裏付けが十分とは言えない状況が続いていた。

中国電力の判断が与えた影響

中国電力は2025年度分として、鳥取県に対する新たな負担金拠出を決定した。原発が立地しない自治体に対し、核燃料税に見合う水準の財源を電力会社が負担するのは、全国的にも例が少ない対応とされる。判断の背景には、30キロ圏内に居住する住民数の割合を考慮した算定がある。

県議会で成立した補正予算の意義

鳥取県議会では、拠出金を反映させた補正予算が可決された。歳入に計上された負担金は、原子力防災対策事業費として活用される。米子市と境港市への交付金に加え、監視体制の強化に必要な人件費にも配分され、実務面での即効性が意識された内容となっている。

全国初とされる制度的な側面

県によると、立地県以外の自治体が、電力会社から核燃料税相当の財源措置を受けるのは全国で初めてとみられる。この点は、原子力行政における新たな前例となる可能性がある。隣接自治体の負担や責任をどのように評価するかという論点に、一定の方向性を示した形だ。

継続性確保に向けた協議の行方

鳥取県は今回の決定を一過性の措置とせず、将来的な制度として定着させる意向を示している。島根県側の負担額が変動した場合に、鳥取県への拠出も連動するかが今後の焦点となる。協定締結に向けた協議の進展が、原子力防災の持続性を左右する。

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