米シェール開発買収でLNG戦略を加速する三菱商事

浅川 涼花
经过
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過去最大規模の買収決定を発表

三菱商事は2026年1月16日、米国の天然ガス開発会社エーソンの全株式を取得すると発表した。株式取得額は約52億ドルに上り、有利子負債約23億ドルを含めた実質的な投資規模は約1兆2000億円となる。この金額は、同社がこれまでに実施した買収の中で最大とされる。

生産能力拡大計画の全体像が明らかに

エーソンが保有するガス田は、2028年度にLNG換算で年間1800万トンの生産規模に達する見通しだ。これは、日本が2024年に輸入したLNG量の約4分の1に相当する水準である。三菱商事は世界全体で年1500万トンのLNG生産能力を有しており、2030年代前半には1800万トンへ引き上げる計画を掲げている。

AI普及が支えるガス需要の現状

AIやクラウドサービスの拡大に伴い、大量の電力を消費するデータセンターが各国で建設されている。火力発電向けの燃料として、供給の安定性に優れる天然ガスへの需要は底堅く推移している。こうした市場環境を背景に、三菱商事は長期的な収益基盤の強化を狙い、大規模投資に踏み切った。

米国から多地域への輸出構想が浮上

買収後は、米国内での販売に加え、欧州や日本、アジア向けの輸出も検討されている。北米産ガスは輸送距離や政治的安定性の面で優位性があり、国際市場での競争力が高いとされる。三菱商事は既存のLNG事業との連携により、供給先の多様化を進める方針だ。

安定供給を重視する経営方針が強調

東京都内で開かれた会見で中西社長は、「日本を含む海外へのエネルギー安定供給を実現する」と述べた。資源価格の変動リスクが高まる中、上流権益の確保は企業経営だけでなく、国際的なエネルギー需給の安定にも影響を与える。今回の買収は、その象徴的な取り組みとなる。

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