任天堂決算、販売拡大と原価圧力が交錯する局面に

浅川 涼花
经过
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足元の業績動向と市場の評価

任天堂が発表した2025年4~12月期の連結決算では、売上高が前年同期比99.3%増の1兆9058億円となり、同期間として過去最高を更新した。純利益も3588億円と大幅に伸び、業績全体としては力強い拡大が確認された。背景には、新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の販売拡大がある。
一方で、第3四半期(10~12月期)の営業利益は1552億円にとどまり、市場予想平均の1807億円を下回った。売上成長と利益水準の乖離が、市場関係者の注目点となっている。

スイッチ2販売の進捗と数量面の強さ

スイッチ2は、2025年10~12月期に701万台を販売し、市場予想を上回った。12月末までの累計販売台数は1500万台に達し、過去最速ペースでの普及が進んでいる。年末商戦における需要の強さが、ハード販売を押し上げた。
同社は今期の販売計画として、スイッチ2のハード1900万台、ソフト4800万本を据え置いており、計画達成に向けた進捗は堅調と位置付けられている。

利益率低下を招くコスト構造の変化

販売数量が好調である一方、利益率には下押し圧力がかかっている。主因の一つが、半導体メモリーを中心とした部品価格の上昇である。需給の逼迫により調達コストが高止まりし、製造原価の上昇が避けられない状況となっている。
加えて、日本市場での戦略的な価格設定や、地域別の販売構成の変化も、製品ミックスの悪化を通じて利益率を圧迫する要因とされている。

経営陣の見解と今後の対応姿勢

古川俊太郎社長は、足元のメモリー価格高騰について「今期中の業績への影響は限定的」との認識を示した。その上で、想定を超える高騰が長期化した場合には、収益性を圧迫する可能性があると説明している。
価格改定については現時点で決定事項はなく、市場環境やコスト動向を踏まえながら慎重に判断する姿勢を強調した。コスト管理と価格戦略のバランスが、今後の焦点となる。

収益成長と利益確保の両立が課題に

任天堂は、販売拡大による収益成長と、原価上昇局面における利益確保という二つの課題に同時に直面している。数量面では順調な滑り出しを見せるスイッチ2だが、収益性の維持には調達や費用管理の巧拙が問われる局面となった。
今後は、部品価格の動向を見極めつつ、ハード・ソフト双方の戦略を通じて、安定的な利益構造を構築できるかが注目される。

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