出向制度の運用実態が表面化
住友生命保険は、出向先の金融機関や代理店から社外秘とされる情報が無断で持ち出されていた事例を公表した。確認された件数は780件に上り、社内調査の結果として明らかになった。対象となった情報には、競合他社の商品内容や販売実績が含まれていた。
これらの情報は、自社商品の販売活動を有利に進める目的で取得されていたと説明されている。調査は一定期間に限定して実施されており、組織的な指示の有無が焦点となった。
私用端末による情報取得の実態
不正行為に関与していたのは、8つの代理店に出向していた13人の社員だった。出向者は、代理店内の資料を私用スマートフォンで撮影し、画像データとして社内に送信していた。紙媒体を持ち帰るケースも確認されている。
こうした情報は一部で複数の社員と共有され、最大で50人規模に及ぶこともあった。共有先には本社の代理店部門に所属する役職員も含まれていたとされる。
本社部門との関係と責任範囲
住友生命は、本社の代理店部門が情報取得を依頼していた事実を認めている。一方で、管理職が明確に指示した形跡はなかったとして、組織的関与は否定した。出向者が依頼に「安易に応じた」と説明している。
同社は、情報の取り扱いに関する認識が不十分だったとし、内部統制のあり方について検証を進めている。役員や部長級が情報共有の対象に含まれていた点も、管理体制の課題として挙げられている。
他社にも広がる同様の事案
生命保険業界では、住友生命以外にも同種の問題が確認されている。日本生命ではグループ全体で約1500件、明治安田生命では39件の事例が明らかになった。第一生命でも不適切な情報取得が発覚している。
少なくとも大手4社に共通する事象となっており、出向制度そのものの運用や、代理店との情報の線引きが問われている。
業界対応と今後の課題整理
住友生命の社長で、生命保険協会会長を務める高田幸徳氏は、これまで業界全体の問題との認識を示してこなかった。今回の公表を受け、各社の対応や業界内での共通ルール整備が焦点となっている。
再発防止に向けた具体策や、出向制度の見直しがどこまで進むかが、今後の注目点となる。