ベルサイユで行われた覚書署名の舞台を詳述
トランプ米大統領は6月17日夜、フランスのベルサイユ宮殿で、イランとの戦闘終結に向けた覚書に署名した。署名はG7サミット終了後の夕食会の場で行われ、ホワイトハウスが映像を公開した。フランスのマクロン大統領とブリジット夫人も同席し、外交の節目を演出する場面となった。
イラン側では、ペゼシュキアン大統領が18日未明に覚書へ署名したと国営通信が報じた。公開された写真には、同大統領が文書を掲げる姿が写っている。米国とイランの双方が署名を発表したことで、停戦延長に向けた合意の枠組みが正式に示された。
トランプ氏が成果強調と再攻撃警告を併記する
トランプ氏はG7後の記者会見で、覚書について、目標を達成し、さらに上回る内容だと強調した。紛争の終結、ホルムズ海峡の再開放、イランによる核兵器保有の阻止を成果として挙げた。政権としては、軍事圧力と外交交渉を組み合わせた結果だと位置付けている。
一方で、トランプ氏は最終合意がまとまらない場合、再び爆撃すると述べた。署名後も軍事的選択肢を排除しない姿勢を示し、イランに譲歩を迫る構えを維持した。米軍のペルシャ湾での展開についても、当面続ける考えを明らかにした。
60日間の協議期限に柔軟な姿勢を示す方針
覚書では、ホルムズ海峡の航行について、イランが60日間に限り無償通航に向けて最大限準備する内容が盛り込まれた。米国はこの期間内に、核問題などを含む実務協議を進め、最終合意を目指す方針を示している。60日間は、停戦延長から本格合意へ移るための重要な期間となる。
ただし、トランプ氏は交渉期限を厳密に扱わない考えも示した。イランが適切に行動している限り、協議が長引いても大きな問題とはしないとの認識を述べた。強硬な発言と柔軟な交渉姿勢が併存しており、今後の協議運営が注目される。
地域情勢と日本の外交姿勢にも影響が波及する
覚書署名後も、中東の緊張が完全に収まったわけではない。イスラエルとレバノンのヒズボラの間では、17日も攻撃の応酬が続いたとみられる。レバノン側では無人機攻撃による負傷者が伝えられ、イスラエル軍も兵士5人が負傷したと発表した。
日本政府も今回の動きを注視している。高市首相はXで、当事国と仲介国の外交努力が結実したことを歓迎した。あわせて、覚書の確実な履行とホルムズ海峡における自由で安全な航行の早期再開が重要だと述べた。
覚書の実効性が今後の最大争点となる局面へ
覚書は、米イラン間の戦闘終結に向けた前進として示された。しかし、内容をめぐっては米国内で批判が広がっている。共和党議員からは、イランに譲歩しすぎたとの声が上がり、米メディアもトランプ氏が当初掲げた強硬な条件と覚書の内容には隔たりがあると伝えた。
焦点は、ホルムズ海峡の通航条件と高濃縮ウランの処分に移る。イラン国内でIAEA監督下の希釈を行う案は、当初の米側要求より抑制された内容と受け止められている。覚書が停戦維持にとどまらず、核問題の最終合意や海峡航行の安定につながるかが、今後の最大の判断材料となる。